腎臓よりフットボールを選ぶ男,サウール・ニゲス

腎臓よりフットボールを選ぶ男,サウール・ニゲス

2015年チャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦のレバークーゼン戦で、アトレティコ・マドリードMFサウール・ニゲスの身体に異変が起きた。彼の腎臓が破裂したのだ。その後、彼は嘔吐し続け、病院へ搬送された。

 

 

2年後の2017年、この悲劇についてのサウールの発言をイギリスのThe Gurdianがこう伝えた。

 

「僕のキャリアの中で最悪の夜だった。怪我したからだけじゃなくて、父が泣いていたのも理由の一つ。僕は彼にこう言ったんだ。『大丈夫。僕は強い男。僕に解決できないことはない』ってね」

 

 

その後、サウールはカテーテルを入れた状態で復帰を果たしたが、痛みは止まなかった。1度目にカテーテルを取り出した時は、まだ完治しておらず、担当医から1ヶ月間の休養を求められた。苦しみの終わりが見えなかったサウールは嫌気が差し、担当医にこう言った。

「腎臓を摘出してくれ。もう一つあるし!1ヶ月離脱することになるけど、その後また復帰する」

「色々試して、効果がなかったらどうするの?また同じ繰り返し?」

「全て忘れて、普通に戻りたい。フットボールをプレーしたいんだ」

 

 

この案に反対する者がここで現れる。ディエゴ・シメオネのアシスタントを務めるヘルマン・ブルゴスであった。

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その時の様子をサウールの父、ホセ・アントニオはこう振り返る。(SO FOOT,2018)

「救急車で息子は手足の感覚がないと言っていた。彼は泣いていた。彼のあんな姿を見たことはなかった。ピッチに早く戻って来れるなら、彼は腎臓を摘出する準備はできていた。そこでヘルマン・ブルゴスが,腎臓を摘出しないように彼を説得したんだ。彼は何度も繰り返した。『フットボールをプレーするためだけに腎臓を摘出してはいけない!大事なのは君の健康だ』」

 

 

サウール本人はこう振り返る。

「僕はフットボールのことしか考えていなかったね。腎臓を摘出して、ピッチに復帰。もう一つあるんだし、腎臓を一つ失っても大丈夫って考えていたんだ。でもモノ(ヘルマン・ブルゴス)は彼の経験を僕に教えてくれて、僕の目を見てこう言った。『サウール、自分の人生についてよく考えなさい』」

「もう一つの腎臓に問題が起きたらどうする?逃げ道がないよね。最終的に僕達はカテーテルを戻したんだ」

 

 

サウールの病との戦いは2年に及んだ。

「過去2年間、カテーテルを挿入しながらプレーしていた。毎練習、毎試合後に血尿が出ていた。クラブの色を守るため、夢を叶えるために、僕は自分の健康を危険にさらした」

「カテーテルと共に僕は上手にプレー出来ていたよね(笑)」

 

 

悲劇から2年後の2017年、アトレティコ・マドリードはCLで再びレバークーゼンと対戦し、サウールはゴラッソを決めた。2年前に大怪我を負った時と同じピッチで。

「あのゴールを決めた時、肩の荷が降りたのを感じた。恐怖が僕を去って行った」

「特別な試合となった。僕が倒れ込むかもしれなかった場所に僕は戻って来たんだからね」

 

 

 

 

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