デヨングのバルサ移籍の決め手は「親友の眉毛」

デヨングのバルサ移籍の決め手は「親友の眉毛」

2019年夏に加入して、既にバルセロナの主軸として活躍するMFフレンキー・デ・ヨングとそのガールフレンドのミッキーは、もしかしたら今は違う街にいたかもしれない。もしかしたらフランス・パリだったかも。


というのも、2019年1月、フレンキーは2クラブで悩んでいたのだ。まず一つは今の所属先、FCバルセロナ。そしてもう1チームはパリ・サンジェルマンである。しかしフレンキーはバルセロナ加入を決めたのだ。この決断には、アブドゥルハーク・ヌーリという人物が大きく影響を与えたようだ。


アブドゥルハーク・ヌーリとは、オランダ出身の23歳。元サッカー選手で、デヨングとはアヤックスで共にプレーした。2017年の試合中に不整脈で重体となり、昏睡状態から回復後に脳に損傷が見つかり若くして復帰不可能となった選手である。


ヌーリと仲の良かったフレンキーはバルセロナかPSGか悩んでいた時、何度も何度も病院にいたヌーリのもとを訪ねた。ヌーリがこん睡状態に陥る以前からフレンキーと彼はとても仲が良かった。当時のエピソードを2020年3月のDe Wereld Draait Doorでこう語っていた。


「僕は次のクラブ(バルセロナかPSGか)を決めかねていたんだ。そこでアッピ(ヌーリの愛称)に聞いてみようと思って彼を訪ねて病院に行ったんだ。そこで兄弟のモーに会った『ビッグクラブなんだからバルセロナに行かなきゃいけない』とモーは常々熱く言っていたが、それでも正直不安だったよ。そこでアッピのお母さんが来てアッピにこう質問したんだ。『フレンキーはバルセロナに行くべき?それともPSGに行くべき?』ってね。アッピは眉毛を上げてくれたんだ。(ヌーリは話すことが難しいので表情でバルセロナに行くべきだよと表現したということ)それは僕にとっても僕の家族にとっても、最高の瞬間だったよ。」


弟・モーも兄の状況について同じ番組にてコメントしている。


「アッピの状態はどんどん良くなってるよ。ベッドから出ることはまだ難しいけど、起きてご飯を食べて寝て。特にコミュニケーションできるようになってきたのはうれしいかな。ただ、彼は眉毛を上げるがそれを長い時間はできないんだ。彼にとってはそのくらいのこともかなりキツイみたいだね」


しかしヌーリは友人フレンキーのために必死に眉毛を動かして、彼の意図を伝えようとしていた。その数日後、フレンキー・デ・ヨングはバルセロナとの契約にサインしたのだった。


オランダでは、ヌーリはクライフとメッシの2人と比べられていた。だからフレンキーにバルサ行きを勧めることは明らかだった。今、フレンキーはヌーリが叶えていたかもしれない夢の途中にいる。


現在アヤックスのディレクターを務めるファンデル・サールはNOS、Press Release Of Ajaxでこう伝えている。


「ヌーリの事故は考えられる中で最も悲しい出来事だよ。彼の親、兄弟、そして彼を愛する人の気持ちをお察しします。心に留めておくべきことっていうのはわかってるけど、アヤックスにとっても大きな打撃だよ。このような不慮の事故は、それぞれの思いは違うけど、みんなの心に刻まれるね」
「先週の土曜日以降クラブ全体の想いなんだけど、ヌーリはとても素晴らしい才能を持っていた。しかし不幸にも、この事故がなければ彼がどれだけ輝かしい活躍をしていたかを見ることはできなくなってしまったよ」


サポーター皆のアッピへの想いは、2017年7月8日以降途切れることはない。


彼がフレンドリーマッチで事故にあったあの日。彼の心臓が止まって、それに皆がおびえた日。彼の家族はアヤックスとブレーメンとの試合を一生忘れないだろう。病院にドクターヘリで運ばれ、一命をとりとめたが今も後遺症と戦っている。

 

彼は今後プロでサッカーすることはできないが、皆の心の中にいる。アヤックスがエールディビジを制覇したときは、ヌーリもそこにいるのだ。


人生に悲観的になったとしても、サッカーは魔法をかけてくれる。世界中から溢れるリスペクトのように。


世界ではいまでもアッピの旗を掲げ、アッピを忘れない、頑張れといったメッセージとともに彼のリハビリや回復を応援している。そしてバルセロナのサポーターもヌーリに対して、感謝を伝えている。

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